MALPASO

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのMALPASOのレビュー・感想・評価

3.6
『The Holdovers』

監督は名匠アレクサンダー・ペイン。主演は、ポール・ジアマッティ。

アカデミー賞作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネート。

舞台は1970年のマサチューセッツ、ニューイングランドのバートン校。
主人公のポール・ハナムは古代史の教師で、価値観が古く、真面目で頑固なため、生徒からも学校からも煙たがられている。出世にも興味なく教える事が生きがいのような教師。後で事情がわかるんだけど。同級生は大学教授、教え子が校長になっている。

クリスマス休暇の2週間、母親が再婚し実家に帰れない生徒と、寮で過ごす事になる。物語は2人を中心に描かれるが、もう1人、ベトナムで息子を亡くした黒人の料理人の女性が絡む。

酒場で隻腕の男に絡まれる。彼はおそらくベトナム帰還兵。ベトナム戦争最中、徴兵されていない若者にケンカを売る男。70年代の映画のようなテイストを感じ、ノスタルジックでハリウッドがいい時代だった頃の作品を思わせるあたりが好き。

ポールがあて書きされた主人公の教師。頑固で厳しいけど、なんとも憎めないのは彼の過去を背負ってそうな演技もあるかと。他の俳優陣も素晴らしかった。
「ベトナム戦争」の最中のお話。寂しくて切ないストーリーだけど、最後は暖かい何かをもらう。

『The Holdovers』は「居残り」的な意味。名作『ブレックファーストクラブ』のような話かと思っていたが、生徒が落ちこぼれとか不良というわけではなかった。

劇中に流れる音楽が素晴らしい!
大好きなドーンの♪ノックは3回が流れたりもする。何度か流れるDamien Juradoの♪Silver Joyが特に素敵!この曲が収録されている「Brothers and Sisters of the Eternal Son」は名盤。冬に聴きながら散歩したくなる。
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