びらびらマン

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのびらびらマンのレビュー・感想・評価

4.3
「歴史とは過去を学ぶだけでなく、現在を説明すること」

素晴らしいクリスマスムービーが故に脳死で過ごすクリスマスに脳死で見ることが勿体なく感じるぐらい脚本が良い

この作品は「過去」と「現在」がテーマとして描かれていて、この作品が70年代を舞台にしていることからも、斜視の教師ポールが古代史の教師を行うという設定も、上記のテーマを語る上で必然性がある。

普通、こういう孤独な頑固親父系は周囲の人間の心が異常に綺麗でそれに浄化されていくのが定説だと思うのですが、同じく孤独な若者ドミニクがある意味鏡合わせ的な立ち位置にいることによって、自分の「過去」的存在であるドミニクと「現在」の自分に向き合うことで前を向く構成になっていることが良かった。

それによって最後の2人が別れを告げるシーンは、過去に執着していたポールが、「歴史とは過去を学ぶだけでなく現在を説明すること」という、「歴史(過去)」に本来向き合うべき姿として向き合い、「過去の呪縛」から解き放たれるシーンとして描かれている。
自分に向き合った結果として訪れる幸せが、奇跡がバーゲンセールのように起こるクリスマス映画とは異なり、ありそうで無いクリスマス映画だなと感じた。

細部まで作り込まれた70年代の世界観、、最高ですね!!