びらびらマン

山椒大夫のびらびらマンのレビュー・感想・評価

山椒大夫(1954年製作の映画)
4.5
あの名作と言われているドラクエ5は本作を参考にしたのでは、、?と観ていて思った

上記のこともあり、本作を見ていて率直に感じたのは、美しさ云々を抜きにしてまず面白いということ。

テンポの良さが尋常ではなく(美少年だった兄が彫りの深いおじさんになったところは目を疑った)、それでいて何だか壮大で、先が読めない。

その時点でドラクエ5の良いとこ取りだなんて思ったのですが、そこ以上にウェイトを置かれていると感じたのが、溝口健二の卓見した女性観。

力強く生きる女性が描かれる彼の作品ですが、本作も漏れなくそうで、安寿に彼の女性感が如実に現れていた。(特に兄を庇うシーンなんて今でも妹と兄の立場が逆なんてことはザラだと思うのですが)

そして「人に情けを」の行き着く先が、ハッピーエンドとは言えないものなのは監督が如何に世の中を達観しているかを垣間見た気がする。