何かを抱えた3人が生活を共にするなった年末のホリデーを通じてお互いを知り、一歩を踏み出すコメディドラマ。
他にもっと好きな映画は沢山あるが、それらとは比べられない思い出深い一作になった。だから採点はできない。
1970年代の映画にさほど精通しているわけではないが、クラシックな映画によく見られるカメラ演出や音楽の音質など、作品が映画の歴史のある時代を確実にサンプリングしているよう。その再現の質の高さには驚く。
そして、ディゾルブの多用。
個人的にディゾルブは古びたダサい演出の一つだという勝手な思い込みがあったが、シーンを跨ぎ際に人物の感情を繋げ、シームレスに物語が語られていくディゾルブ編集に何故か泣かされることが多々あり…
次第にキャラクターが抱える過去や取り巻く環境、葛藤が明かされていく後半は、非常に深刻な社会問題、偏見、病といったものが描かれるが、まるで家族のようにお互い寄り添っていく様があまりにも温かくすぎる。見ているだけで多幸感を感じられてしまう恐ろしい映画だ。
そして、俳優陣の演技たるや、アカデミー賞でしょ!美しさを感じる画がいくつもあったが、どれも彼ら彼女らの演技の力が大きい。
シンプルな言葉が未来への一歩とひと時別れ、絆関係を描くラストで泣かされた時、このドラマが如何に地味でも大切な映画になっていることを知った。
そんな後に「クソ野郎が!」と言わんばかり「そんな考え理解できるか!こんな社会受け入れて=のんでたまるか!」と言わんばかりにあるものを吐き捨てるショット。
心地良すぎる!!
好きな映画であり、おそらく自分の疑似記憶にもなってしまいそうな一作だった。