おりょうSNK

青春ジャック止められるか、俺たちを2のおりょうSNKのレビュー・感想・評価

5.0
2023年 日本 119分
@京都シネマ 平日13:50〜 観客18人

最高!嬉しいなあ、映画が好きでよかったぞ!ブーメランになって返ってくるのを覚悟で言うけれど、映画は理屈じゃない!熱意、心、本気でバカになれる人が作るものだ!

バカのひとり、井浦新。ヒトリボッチ国際ファンタスティック映画祭2023において、「アンダーカレント」の首タオル演技で助演賞を獲得した井浦新が真骨頂を見せる。僕は若松孝二に会ったこともないし動いてるとこを見たこともないけど、若松孝二だった。映画バカで撮影現場では無茶苦茶なことを言うし矛盾したことをやらせるけど人情に厚い絶滅危惧種。もはや井浦新として見てなかった。

いや、理屈でこの映画を語ることは出来るけど、そうでないほうがこの作品は楽しめる。
食卓で「愛と青春の旅だち」か「E.T.」のどっちを見に行くか?なんていう1982年丸出しの会話があり、それを筆頭にして映画ファンをくすぐるシーンやセリフも多いけど、そんなことはなくたってこの作品は最高だ。半端ない熱意があり、何かに媚びることはせず、熱い心で映画を作っていた人のみならず、作れなくて己の至らなさを露骨に暴かれる人たちを深い愛情で見つめているからだ。だから、いわゆる「映画好きなら好きだよね、こういうの」ってこととはぜんぜん違うんだ!露骨に前言撤回するけれど、映画が好きじゃなくてもよかったと言える。つまり、会ったこともない人に自分の頭の中や人生を覗かれて映画化されたような、そう、見た人それぞれに寄り添って「まあ大丈夫だから」と背中を押す作品なのだ!

いつまでもこの人たちを見ていたいと思わせたら映画は勝ち。伏線回収とかどんでん返しとか溜飲が下がるクライマックスなんてものは、小手先のことなんだ。

大好きなシーンの大渋滞。俳優全員が素晴らしい。演技じゃなく、表現だった。
最後に大事なことを。芋生悠がやっぱり好きだ。
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