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ぼくを葬る(おくる)のクリームのレビュー・感想・評価

ぼくを葬る(おくる)(2005年製作の映画)
3.8
ラストシーンが美しく、そのシーンの為に作られたのか?と思うエンドでした。「まぼろし」に続くオゾン監督の“死にまつわる3部作”の第2作。今作は、余命宣告された青年が「どう死ぬか?」を模索して行く話。結局、本人が納得出来るかどうかなのかも知れないと思った。

パリでカメラマンとして成功し、ゲイの恋人サシャと暮らす31歳のロマンは 、癌で余命3か月と診断され、化学療法は受けないと決断する。休暇を取り、実家に帰った彼は、両親や不仲の姉に病の事は話せなかった。サシャとも同棲を解消し、田舎で1人暮らしをしている祖母を訪ねるのですが…。



ネタバレ↓



祖母は昔、息子(ロマンの父)を捨て、他の男に走り奔放に生きた人で、ロマンの父は彼女を許していない。 彼は、大好きな祖母にだけ病を打ち明ける。
何故、私に言ったの?の質問に 「僕たちは似ているから。もうじき死ぬ」と答える。すると祖母は「今夜、あなたと一緒に死にたい」と言う。 2人の関係が素敵だった。ロマンはこの時、泣いた。
帰る途中、行きに寄ったレストランで、言葉を交わした女性ジャニィが夫が原因で子供が出来ないので、子供を作って欲しいと言う。一度は断るが、承諾し、無事妊娠したジャニィ。それを知り、自分の死後に自分の財産をその子供にと言う遺言書を作成したロマン。
サシャともう一度逢い、姉とは和解した。ラストは、1人海水浴場に行くロマン。海水浴客で賑わう砂浜に寝転びます。夕方、皆は帰って行き、ロマンだけが、横たわったまま。夕陽が、沈んで行く。

このラストシーンを撮りたくて製作したなかな?って、思う位見事で美しいエンディングだった。夕陽が彼の魂の灯の様に見え、動かない横顔の向こうに消えて行く。素敵なシーンでした。
自分の病を家族に告げないとか相続の遺言書まで作った事。癌である事をジャニィにも告げずに妊娠させた事等、身勝手だなと思ったが、彼の状況なら全て正解で終わらせられないのも事実だろう。1人で選択し、最後も自分で決めた。彼は自分が納得する死に方を選んだと言う事なのかな?って思いました。身勝手に見えるのも反対されたり、悲しまれると耐えられないからだったのかも知れない。やっぱり、死のテーマは深い。
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