このレビューはネタバレを含みます
今年初めて観た一作目があまりにも神作過ぎて翌日にもう一回観てしまうという、自分史上過去に例が無いような行動を取ってしまったそんな印象的な作品の正統続編という事で早速行って参りました！！
普通ホラー映画ってB級的である事が多くて、何か印象的と言われてもそのグロさであったり恐怖度であったりだと思うんですが、あの作品は何故かもう一度観たくなるような不思議な回帰性と言いますか、サスペンス的要素を含んでいたりカラス神父の人間的な側面も魅力的でもう一度そこを見返したくなるんです。それくらいどこか””心に残る””不思議なホラーとも言える不朽の名作【エクソシスト】。
今回はその正統続編という事で、僕も1以外は観ていないのでそれ以外の情報は無いある意味相応しい状態での鑑賞。僕個人としてはあの作品は『ひょっとしたら悪魔とかでは無かったんじゃないか？』っていうそういう角度の可能性も匂わせているのが面白くって、何故かただの水道聖水が効いた伏線とかは結局回収されていないんですよね（たぶん）。
そもそも、もっと神よ悪魔よ～な世界観かと思ったら、全然50年前のオリジナル版の時点で『科学の時代に悪魔（笑）』みたいなノリなんで意外とそこも現代基準だと新鮮なんですよ。これ古い映画あるあるですよね。
さてさてそんな既に数百文字を語らせるあの名作の正統続編、、、、上寄りの普通でした（笑）。
まず正統続編という事でなんと言っても神父VS悪魔のアレが観られるのかと思いきや、神父はモブなんですよ。。。。
テーマはズバリ親子愛で黒人家族の親子愛が勝った、信じる気持ちが勝ったとでも言うべきですか。あの憎たらしく狡猾で一筋縄ではいかないと嫌というほど思わされる悪魔との対決がもっと観られるのかと思いきや、これは各方面でも言われている通り悪魔の一時撤退みたいな形で終えるんですよね。
それでも映像の迫力は満点レベルでこの手の時を超えた続編にありがちなCGの悪目立ちや現代的絵面で過去作の良さが消えてしまっているような、量産型の何かに成り下がっているようなそういう不気味の谷現象は無かったです。インディージョーンズの時もそうでしたが、ようやくアナログ的な良さを持ったデジタル的表現っていう部分がここ数年で熟成された気がしますね。
話がズレました。
本作の根幹をかなり好意的に解釈すると、元々の一作目では神父対悪魔でまさに直接対決の全面戦争だった訳です。そして最後にはカラス神父の犠牲によって女の子は助かります。だからこそ、その時部外者で役立てなかった””親””が今度は戦うぞ！！っていうことなんでしょうか？それなら1作目の母親役であるクリスが再登場したのも分かりますし、、、でもそのクリスの扱いが雑過ぎてもうこの時点で不安が過ぎったよね～（笑）
神父という特別な存在が居なくても、そもそもその子の親の愛で打ち勝てるんだ！っていう。あっ、でも最後は愛とかじゃなくて選択をしたからそれで悪魔が一時的な撤退をしたみたいな形だったし。。。。う～ん。
それと本作どうしても☆4に出来ない部分として物足りないんです。1作目では何度も何度も対決して失敗してからの最終決戦という流れが有りましたので、何か一回で片付いちゃった感が『アレ・・・？』ってなるんです。途中から味方キャラが大量参戦してそいつらがハリーポッターの終盤バリに大量詠唱を始めるもんですから焦点もどこに当てて良いやら。
主人公も宗教を信仰していないからこそ出来る何か別の事みたいなのも無いんですよこれが。まあボクシングの伏線でまさかの殴りでノックアウトしちゃったらギャグですしね（）
なので最後もう一回不気味な何かが有るのかと期待している自分が居て、実際に観客もそうだったのかエンドロール後まで残っている割合が高かったです。三部作の噂も有るそうですし、前哨戦ってことなんでしょうか。
正直50年も前の作品だしいっそのこと分かりやすく現代風ホラーでオリジナル版は勿論リスペクトしつつシンプルにまとめました、という制作陣の思惑が透け見えました。
1作目を観たことが無いまま観てしまった方は是非1作目を観て下さい。神父である以前に精神科医のカラス神父に女優業で忙しいクリスとその娘。そんな彼らが徐々に巻き込まれていく50年前とは思えないような軽快でオシャレに振りまかれていく伏線の数々とサスペンスの完成度は、本作とは比べ物になりません。
エクソシストが名作であるのは、あの女の子の悪魔のビジュアルや有名なイントロ以前にその作品としての完成度の高さです。どこか目を離せないアハ体験的なホラーが、人を引き寄せるのです。似たような描写は有ったけど、、、それが収束していくわけでもなし。
やはりリメイクって難しいのでしょうか？
