アンソニー

悪は存在しないのアンソニーのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.2
もう一度みたい

こんなに感情的じゃなく、
体を揺らされるような衝撃が
あるのがすごい。

観てるとき空言のように
悪は存在しない
と頭の中の自分が囁き続け、
ラストにちりっと光って消える。

この感覚なんだ、マジで。

きっとわざとこのしゃべり方なんだろうし、あんまり演技は気にならなかった

↓備忘録として考察を
※ネタバレあり












なぜ最後、巧が高橋の首を絞めたのか
それをグルグル考えてて
一つが巧の花に対する愛情の希薄さがまず浮かんできた。
お迎えを忘れたり、
子どもの話を無視したり
ラストに自分の子どもが倒れていることよりもその状況に対しての混乱を優先していることもこれに繋がっている

それと、高橋の行動
これは手負いの鹿が目の前にいる素振りにも見えるが、単純に倒れている子どもをなぜ助けないんだという動きにも見える。
巧の頭の中の混乱が
幻想の鹿を見せたかもというのと、
鹿が人を襲ったという受け止めがたい事実と、なぜ、そうならなければならなかったのかを逡巡する。

グランピング予定地の鹿の通り道と
人を襲うはずがない鹿に傷つけられた我が子
我が子のために助けに動くのではなく
自然全体の
この地に施設を建てることへの警告だという妄想を優先し、その象徴である高橋を殺すことでそれを止めようとする。


というのが、高橋の首を絞めた理由だろうかとも思いつつ、
結局高橋も死んでおらず、
花も怪我をして気を失っているだけだろうとも思う。
その後を描かなかったのはその事実が明るくなってからのことは特に本編と関係ないからだろう。