にょいりん

悪は存在しないのにょいりんのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭から森を見上げる移動ショットと音楽が美しいし、その後にもある森の中での誰の視点か分からないようなカメラワークも素晴らしかった。そんな自然の中で、主人公や村人達の拙い演技の不自然なセリフのやり取りによってセリフの「言葉」の輪郭が明確になっている。この「言葉」が積み木のようにきっちり組み上がっていくのが少し堅苦しく感じた。グランピング担当の二人の車内での会話も自然風だけど演劇的な会話で次の展開へ続く「言葉」を分かりやすく導いている。
このように自然の風景の中に不自然なものしかないからこの映画はずっと不穏だった。ラストシーンの急展開は「悪は存在しない」というタイトルから何かイヤな事が起こるだろうと思っていたので驚かなかったけどよく分からなかった。
結局このラストシーンが謎を残すだけの絶好の考察ポイントとしてだけ後味に残ったのが味気なかった。