このレビューはネタバレを含みます
観ている間ずっと緊張感が続き、面白さと怖さに釘付けになった。
巧は神話的な自然とのバランサーのような、門番のような役割を担っている。ゆえに「何でも屋」であり、「金には困っていない(必要ない)」のであり、「大事なのはバランスなんだ」と口にする。
そう考えれば、「(自然において)悪は存在しない」というタイトルも、最後に描かれる衝動的な行為も納得できる。「鹿は違う場所に行くんじゃないですか」と言った高橋は、門番により取り除かれた、と解釈できる。
が、こうした安直な感想・考察は部分的な理解に過ぎないとも思う。もっと得体の知れない、それでいて美しい、見たくないけど目が離せないものを観た気がする。