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悪は存在しないのrikakoのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.0
終盤の展開を整理しきれぬまま映画館を出て、チラシを読み返しながら歩いていた。ら、たまたま同じ時間に観ていた一度だけ会ったことのある知り合いに遭遇。
きっと爽快な映画だったら会釈して終わっただろうが、お互い頭に?が浮かんだ混乱状態だったので、そのまま勢いで焼き鳥屋へ。

金曜日の夜、同僚やカップルが楽しげに焼き鳥を食べる中、2度目ましてな私達だけ深刻な表情で映画討論。

鹿は母の象徴では?でもなぜ銃弾?なぜ鼻血?実は娘には魔力があって、最後の父の行動はそれを隠すためとか?えーそれはないでしょ。娘を見つけた安堵と引き換えに取った突発的な衝動だと思ったなぁ。というか答えなんてないですよ、わからせる気なんてないと思う、わかりやすさへの抵抗だと思うんだよな。

目の前で焼き鳥を焼いていたバイト店員はどう思っていたのか。今なら心配になる会話だが、お互い噛み合わない考察を鼻息荒く言いたいだけ言って、納得できる答えは出ぬまま消化不良で解散。

その後読んだBRUTUSの濱口監督インタビューで少し腑に落ちた気がする。
やっぱり答えはない。あるとしたらそれぞれの解釈が答え。
鑑賞直後に映画討論できたおかげで、悪の定義と解釈の多様性について、生の意見から実感できたのはとても新しい体験だった。
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