ゴダールを思わせるタイトルバックから、なんかこれまでの濱口竜介とは違うかもと思わせておいて、説明会のシーンでは「出た、あの気まずく不穏な感じ」と思わせ、車内やうどん屋のシーンでは『偶然と想像』のような軽やかさを見せ、そしてこの映画作家の作品にしてはかなり唐突な結末を迎える。
濱口竜介に“天才”という表現はそぐわない気がするのだが、“秀才”と表現するにはあまりにも才気走っている。並行移動のショットひとつとってもそれだけで「映画観てる感」が漂ってしまう。映画に愛される監督なのは間違いない。今後どんな映画を撮るのか。CG屋の映画がアメリカで受けたことなんてどうだっていいではないか。