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悪は存在しないのhのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

一昔前(ゴダール、キューブリックらの時代)のように長尺の音楽と一定の映像から始まる今作。
固定のアングルは静かな自然にある日常を映す。そこには怒りや悲しみが存在しない様。
これを変容させるのはストリングスの素晴らしいBGM。アンビエントのようだった。予測の範囲に無い、ただそこにあるのが当たり前の弦の揺れ。音が止まると緊張が観客の肩にそっと触れる。

そして始まる絵に書いたようなリアルおままごと。一人一人に立場や正義があって悪は存在しないよーってなんだこれ。
急な路線変更に一抹の不安を抱えながらも無駄なく進むくだらない現実はこの作品にいいコントラストを与えていた。(''絵に書いたような''は比喩でもあり比喩でもない。実際に使えない上司は給付の元借りたオフィスで背景の絵と全く同じポーズをする。)

ラストは言わずもがなの衝撃。
素晴らしいロケ地、時間帯、霧。何か既視感があったが思い出せない。タルコフスキーのような遠景、これだろうか、違う気もする。綺麗だった。
多くの考察記事があるのだろうが、今は目にしたくない。この曖昧な解釈をペースト状になるまで噛み砕ききったらいいものが出来ると思う。簡単に手に入るものよりもきっと価値がある。

少し話すのであればこの作品では分かりやすく自然に例えた台詞があった。
中盤であればオサの するがさん の台詞。
上から下へ〜 のところ。
もうひとつラストの車の中でのセリフ。鹿が人を襲うのは半矢の時だろう。
これがもちろん投影されている。
悪は存在しないがどこにでも悪は存在するなのか…

今のところひとつ確かなことは自然にとって人間は完全な悪であると言うところか。
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