jiyu

悪は存在しないのjiyuのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ラストむずい、考えがまとまらない
時間かけて少しずつ咀嚼していく感じで、こういう映画は好き

冒頭の数分から引き込まれた
森の中で木々を見上げた視点がしばらく続くが、退屈することはなく、何故か頭が冴えてきていろんな考えが巡った。葉っぱは上の方にだけ生えてるよなあ、日光が当たるからだろうなあ、とか、低木だと葉の生え方も違うよなあとか、森をただ歩くだけでも、よく観察してみるといろんな表情があるんだと思わされた。そのときは無意識だったけど音楽の効果もあるのかな?でも家で見てたらここまで集中できないと思うし、やっぱり映画館で観る映画はいいな

あとは高橋のキャラクターも良かった。最初はただの嫌なやつだったけど、色んな事情が見えてきて、俗っぽく軽い感じはあるが憎めなく感じるようになった。一見して物事を判断するんじゃなく、ちゃんと観察して理解することが重要なんだなあと。そう捉えれば冒頭の森のシーンとも重なるし、この作品の一つの示唆になってると思う。「木を見て森を見ず」ならぬ「森を見て木を見ず」的な感じ?

そのノリで考えてくと、巧の最後の行動も少しは理解できてくる。一見ローキーな感じで何考えてるか分からない。ただ、花と母親らしき人物の写真が度々出てきて、花の写りが今とあまり変わらないことから、巧はおそらく妻を亡くしてからそれほど時間が経っておらず悲しみの中にあることが察せられる。実際、花の迎えを忘れたり抜けてるシーンがあるのもその影響かもしれない。いわば巧は半矢の状態だと。そこからさらに花を失うかもしれない、その状態からの暴力性の噴出が首締めのシーンになると理解できる。

ミニシアターもいいな、周りのお客さんと同じ映画を観てるっていう一体感が感じられるというか、世界に入り込むよりも少し引いた視点で色々考えながら観られる感じがする
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