ピロシキ

僕はキャプテンのピロシキのレビュー・感想・評価

僕はキャプテン(2023年製作の映画)
4.0
マッテオ・ガッローネの作品を今まで一度も好きになったことはないけれど、これはもう。今までの作品同様に、非情な現実を叩きつける姿勢に容赦はない。とにかく視覚的にも心理的にもひたすらしんどいお話である。しかし個人的に、過去1引き込まれる作品であったことは事実。

「音楽で成功したいッ!」という夢だけを持ってセネガルを発ち、機会を求めてヨーロッパを目指す若者たちを待ち受ける試練。嗚呼、あまりにドギツすぎる試練。自分なら「紙幣はケ◯に入れて持ち歩け!」の時点でさっそく夢を諦めてるところ。

難民を乗せた船がたどり着く側、つまり難民を「受け入れる側」から描かれる作品は多かった、今回はカメラが彼らに寄り添うことで、視点を逆にした作品にしたかった、と監督談。おかげ様で、とんでもない地獄絵巻でございます。タイトルの意味が明らかになるのは、ほんの終盤。そしてもちろん彼らの物語は、映画が終わってからも続く。むしろそちらの方がよほど辛い現実なのかもしれない。本当に、容赦がない。
ピロシキ

ピロシキ