さいころ

人間の境界のさいころのレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
4.1
鬱映画。あと、ロシア寄りのベラルーシがヨーロッパの玄関であるポーランドに難民を送りまくっているという政治事情がわかってないと、少々難解かもしれない。
複数視点で難民の行方を追う。ベラルーシは難民を利用するために招き、ポーランドは招かれざる難民を追い返さないといけない。その間で翻弄される難民はたまったものではない。
ポーランドの対応はおそらく人権的に非常に問題だが(ベラルーシは最低最悪であることはもちろん)、3700万人ほどの国に何万人?もの人が押し寄せていると考えると、その嫌悪感はかなりのものだと想像できる。
歌などで人々の思いが国境を超える様子を示す一方で、ほんの少しだけだが難民特有の「ハラル」「言語」などの課題に触れており、うまく馴染ませるのも苦労していることも伝わる。
難しい問題だ。そして、難民などが亡命している国で強く結束する理由を垣間見たかもしれない。
主人公の中では国境警備隊の男性に対して感情移入していたように思う。ただ、それは難民より恵まれた、選別したり慈悲を与えたりできる現在の自分の立場を反映しているようにも思え、少々落ち込む。
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