m

人間の境界のmのレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
4.0
ノンフィクションだからスコアが付けづらい
あえて評価するなら表現にまつわる映像や脚本の技法についてなのだろうが、詳しくないので…

難民、国境警備隊、支援団体、各ポジションの悲痛な苦悩を受け止めきれず、自ずと同情的な感情を切り離してしまいメタ的にその非人道的な構図を眺めていた
越境する度拒まれ続け生活苦を強いられる難民、それを前にして境界を守る警備隊と境界を否定する支援団体…それぞれのスタンスに共感の余地がある。
あちらを立てればこちらが立たず、というようなシステムの不完全さを追いかけていた

元より難民が居なければとか、なぜ子供を産むのだろうとかとも思ってしまったのだが、存在を否定することは人権の不均衡に変わりない
では均衡を保つ必要があるのかという問いに繋がるのだが、その答えは立場によって変わってしまう 映画中のイタチごっこ的な苦悩の連鎖の通り、安全圏に居る人間と局地に立たされている人間が主張する己が権利は併立し得ない

個人的な考えにはなるが、システムが不完全であることをシステムが認め、末端で個々人がうまくバランシングして対処することを認めるしか皆が納得する道を模索する術はないような気がする
それは問題に対する解答ではなく、問題を下位概念に分散しているだけではある

しかしやはり、絶対的な原理によって善悪を統括することは不可能なように思うのだ。
m

m