ハヤメソソ

DOGMAN ドッグマンのハヤメソソのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
3.5
好みで言うと好きな映画です。
リュック・ベッソン監督は世間的には「LEON」が代表作なのかもしれませんが、私は「グラン・ブルー」で心を捕まれたクチです。

アクションや激しいバイオレンスのイメージですが、人間ドラマを描く点も個人的には好きなところ。
今回は、そのちょうど間の物語のような感じがした。
なので、それを期待して観るとそこまでの壮絶さはない。
ただ、普通に主人公「ドッグマン」の半生が壮絶だった。

これまでに犯した犯罪は到底アウトなものばかり。それでも、彼の生い立ちやこれまでの生活を思うと肯定はしないけれどやるせなさも感じる。
特に犬を愛し大切にしているところも憎めなく。
でもこれって純真無垢な自分の子供たちを従わせて、悪事をさせているのだから人間に置き換えるとクソなんだけどね。
下半身が不自由なところに同情するのは違うのかな。

女装して他人を演じると辛い現実を忘れられるのは分かりみが深い。
もう最後は絶望しかないのだけれど、ダグラスに幸あらんことを願ってしまうな。
少年時代の地獄のような実家での扱い、子どもをあそこまで虐待しておいて信仰心あるのが父親も兄もあきれるばかり。神がなぜ救うと思えるのか。
迷える人間は救われるとでも?全く誉められない行いをしているのに?
謎である。
信仰心を持ち合わせない人間には分からない世界があるのであろう。