ハヤメソソ

オッペンハイマーのハヤメソソのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.3
難解と誉れ高いクリストファー・ノーラン監督の、歴史上実在する人物それも原子力の父と唱われたオッペンハイマー博士の自伝映画です。

時系列の難解度は、一部噂されていたほどではなく、比較的分かりやすかったです。あまり白黒カラーを気にせず集中して見ていたからかもしれません。
181分の長尺も個人的には飽きませんでした。
中盤までは、オッペンハイマーの私生活を含む人となりが描かれ、女性にだらしない点などをなかなか丁寧に見せます。
その辺りは正直あまり興味なく見ていましたが、やはり後半の日本に原爆を投下する流れで爆発実験をするところがこの作品のピークかなと。日本人の私的には。
実験が成功して、チーム全員が歓喜乱舞するなか、観ていた自分の顔は強ばり凍りつきました。この温度差。
結局オッペンハイマー博士も大量殺戮兵器を作り出してしまったことに、その後の人生苛まれることになるのですが…。

個人的映画のピークは過ぎましたが、本編はここからオッペンハイマーがはめられていくその先の展開が進んでいきます。
やはり胸くそ悪いのが、当時のアメリカ大統領。
オッペンハイマーが核爆弾への恐怖と疑念を伝えると、「日本が作ったお前を恨むとでも?恨まれるなら落とした私だ。お前のことなど誰も気に留めない(意訳)」と答えたのです。

JFKやアインシュタイン博士が同じ時代で関わっていたことに、数奇さを感じます。
結論、私はオッペンハイマー博士を憎む気持ちにはなれませんでした。
だけど、やはり原子爆弾を投下したことは間違っていると、人の道を外れた外道のすることだったと、これからも認識を変えることはありません。

あと効果音の音量が演出上必要なんだろうけど爆音過ぎるので、苦手な人は要注意です。下手すると耳と心臓やられます。


最後に、かなりの端役だけれど昔の青春映画系によく出ていたマシュー・モディーンが出演していたのが嬉しかった!!(私が好きなのは「バーディ」です)