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DOGMAN ドッグマンのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

犬を操る女装男の話。

まずは、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ演じる、主人公ダグラスが魅力的でしたね。
女装・車椅子・下肢装具とビジュアルからして気になる部分が沢山あるし、血まみれで登場したり、車に大量の犬がいたりと、ミステリアスな設定にも興味を引かれます。
物語的には、彼の半生が語られていくのですが、この冒頭のインパクトがあればこそ、彼の半生も集中して見れたと思うので、映画の掴みとしても良く出来ていたのではないでしょうか。

ダグラスは幼少期から父親の虐待に遭い、障害を負ったり、片想い相手に振られたり、仕事がなくなったりと、過酷な人生が語られます。
この不幸続きの人生や白塗りの化粧、ショービジネスへの関わり等から、『ジョーカー』を想起させるものがありましたが、ダグラスはジョーカー様に闇に堕ちたりはしません。
ダグラスにあって、ジョーカーになかったのは“犬”という事で、愛し愛されるものの存在が彼を踏み止めさせたのでしょう。

ダグラスは自由に動けない分、犬を使役してヤクザを脅したり、泥棒を働いたりするのですが、個人的にはこの部分が一番面白かったかな。
軍隊の様に規律正しく動く犬はカッコ良かったし、「舐めてた犬が実は殺人犬でした」みたいな展開も痛快。
この辺は、もっと色々なアイディアが出せたと思うし、もっと膨らませて欲しかったです。

なんというか、ヒーロー映画のオリジン…ないしはプリクエルの様な話で、肝心のヒーローの活躍があまり描かれないのが、ちょっと物足りなかったかなと。
ドラマ性ばかりでなく、もう少し娯楽性に比重を置けば、もっと広い層に訴求出来た気もするんですけどね。

本作をオリジンとして、今後シリーズ化していく予定があるのかと思いきや、監督曰く、続編を作る予定はないとの事。
主人公がクィアだったり、動物を使役するヒーローは珍しいので、個人的にはシリーズ化しても面白い気がしたのですが…残念です。
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