Nancy

DOGMAN ドッグマンのNancyのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
4.8
「ジョーカー」、「ホームアローン」、「ジョンウィック」のような雰囲気で、個人的にめちゃくちゃ好きだった。
この映画を支えているのは何と言ってもケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。彼の存在感が映画の感情を強く引き締めていて良かった。

この映画の大きな魅力は、一見すると相容れない要素を組み合わせながらも、現代の社会としっかりと対話していること。
例えば、映画に登場する男性たち。
ベッソンは、説教臭い演出や大げさな主張をすることなく、父や兄いった暴君的な男たちの最も暗く暴力的な側面を容赦なく暴き出す。
そして、主人公を支える数少ない二本足の存在は、母親やイヴリンのようにすべて女性だった。一方で、ダグラスの父親やギャングたちは、犬たちの純粋さとは正反対の存在として描かれている。
映画の中の男たちは総じて「崩壊」していて、だからこそ、ダグラスが唯一落ち着ける場所がクィア・クラブなのも納得できた。

彼は「ロマンティックなヒーロー」でありながら、必然的に世界の片隅で生きる運命にある。 それは現実世界ではなく、彼自身が作り上げた架空の世界。
この映画には『ジョーカー』のような絶望感もあれば、あり得ないほど精巧な犬の強盗劇もあり、ハンニバル・レクターのような悪役を思わせる部分もあるけれど、レクターとは違い、ダグラスには彼の痛みやトラウマに共感できる余地があるのが特徴的だった。
それに最近の映画にはないオリジナリティが感じられたのも新鮮だった。

Netflixの配信終了間際に駆け込みで観れて良かった。私のお気に入りリストに追加したい。
Nancy

Nancy