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オカルトのおはうちのレビュー・感想・評価

オカルト(2008年製作の映画)
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まさか青春映画の様相を見せるとは!無差別殺人をするため爆弾作り始めてキャッキャするし、爆弾見つかりそうなの隠し切った後でスイッチだけポロリと見えてたのを笑い合ったり、テロ実行日にブラブラしてインドカレー食ったり映画を観るわで、何を見せられてるのか!?

テロ実行日にたまたまインドカレー食ってたらインディ・ジョーンズを思い出して丁度新作が上映されてたのを観に行ったら内容がエイリアンの出るクリスタルスカルの王国で、超常現象の影響により自分の行動の全ては繋がっていると天啓を感じさせてヤバい!上手いけどコイツらヤバい!

宇野祥平の醸し出す悲哀、うだつが上がらない中年の日常が絶妙でしたね。非正規の派遣労働者の生活ディテールとか妙に細かい。欠員が出るかもしれないからと待機させられる時間の途方も無さ、その間は給料が出ない生産性の無さ。怪異を追いかけるつもりが中年に同情させる流れが上手い。

焼肉屋での宇野祥平のウザ絡みが本気でシンドくてリアリティあった。女性への絡みが不遜すぎてキモい。うだつは上がらないけど、ちょっと仲良くなった程度でタメ口になるわ強気になるわで関わりたく無い感じに豹変する。ただの可哀想な人間と描かない。でも愛らしさも感じさせる絶妙さ。

途中で無一文と思われていた宇野祥平に貯金のある事が分かると信用できない人物に映ってくる。一面的に人間を見せないで裏がある。それでも、彼に週五で一ヶ月の派遣労働が決まったら嬉しくなる訳で本当に不思議。淡々と喋って情感を感じさせないのに、逐一見たくなる面白い被写体。

通り魔や無差別殺人を肯定する気は無いんだろうが実行犯にシンパシーを感じさせるのは危険に感じられる。フィクションって、こんな人間にも同情させる事が出来てスゴイよ。久しぶりにフィクションの破壊力を感じさせられた。キャラが良いんだな。

唐突に黒沢清が登場して思わずワロタ。瞬間的に一時停止してしまった。
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