このレビューはネタバレを含みます
ヒロアカ映画4作目。テレビアニメを見るようになってからは初めてリアルタイムでの劇場公開。そこまで評判良くないらしいけれど、個人的には結構楽しめた。キャラクターに対する理解が深まってくるほど、味わい深くなってくるものがある。
ストーリー自体はダークマイトというオールマイトの自称・後継者がヴィラン化して、そこにヒーローたちが立ち向かうというもの。ダークマイトが暗い部屋で、オールマイトがオールフォーワンを倒して「次は君だ」と言うあのセリフを自分に向けてだと思い喜ぶシーンなんかは、「キング・オブ・コメディ」も想起して、おじさんが勘違いしちゃう系って面白いなと。ただ、彼は金持ちマフィアなんだよなぁ。これが根無し草的なキャラクターじゃないからそこがなぁ。露骨にジョーカーっぽくなり過ぎるか。
それから、ヴィランの作り出した異空間に閉じ込められるのは、「スパイダーマン ファーフロムホーム」、「呪術廻戦」渋谷事変編とも重なる。特に帳っぽさ、都心の麻痺の雰囲気はヒロアカ版渋谷事変っていう感じ。あと、その中でミッションをこなす展開は「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」も想起する。やっぱり、現実世界を拡張する悪役的な設定は、基本設定をそのままに“特別編”的な世界観を簡単に作り出せるから、めちゃくちゃ便利なんだろうな。
ただ、今回はデク班、爆豪班、轟班と3班に分かれていて、デクはそこからさらに逸れてしまうという展開で、さらにそこにオールマイト陣営が入ってくるというあたりは、複雑というより、やや散漫な印象にはなるかもしれない。ただ、個人的には色々なキャラクターが見られたからこれはこれでそれなりに満足。特にあの夢を見るところ。みんなのバックボーンを多少なりとも知っていると、燈矢たちきょうだいとサッカーしている轟、お兄ちゃんとヒーロー活動をする飯田、女の子を助けた障子（ちょうど昨日最新話で観たところ）にはグッとくる。家族で合唱の蛙吹はただ可愛い。常闇が三人衆に次ぐ攻撃ポジで信頼得ているのもなんか良い。あと、個人的に結構好きなルミオがあの透過で活躍するのも良かった。爆豪たちがゲームをルール無視してクリアするのは笑う。
あとはまぁなんだかんだで手下たちを蹂躙するスーパー高校生たちからのダークマイトとの対峙。能力拡張ネタはヒーロー映画で良くやるよなぁと。ヒロアカも本編で繰り返しているし。あと、手下含めて、ダークマイトをシンプルに実力で打ちまかすってありなん？って思うけれど、反則技持ち出されるよりはこれはこれで面白い。ダークマイト倒す時のデクの決め技長過ぎてそこは笑う。アクションの作画もしっかり決まっていたと思う。権力の使い方間違った系マフィアの息子はまんま「ゴッドファーザー」のマイケル。父ちゃん殺しはマイケルより酷いが。
そこからのアンナの個性の暴発。正直、冗長かなぁとも思ったけれど、しょうがないか。ジュリオはツンデレキャラでアンナの個性を治めることができる唯一の存在。アンナのスペック拡張個性にたまたま合致して、ジュリオの個性が拡張されて、それでアンナの個性を全て吸収するという、なるほどその手があったか的な。「鬼滅の刃」で禰󠄀豆子が太陽浴びてのあの展開的な“上手い”っていう。あと、ラストの死柄木の目のアップ、今作と関係なくねぇ？いや分かるよ、アメコミオマージュのヒロアカがポスクレやりたいのは。でも、関係なくねぇ？あるのかな、これから。
