こんろ

ある閉ざされた雪の山荘でのこんろのレビュー・感想・評価

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
4.0
これは...!三重四重五重...いや0重に一票。ほんとネタバレなく語れない作品でした。鏡がキーになる作品な気がします...以下ネタバレ!











※※以下ネタバレ※※

あくまで個人の感想です。東野圭吾や監督や脚本家の意向に沿ってるかは分かりません。


三重の感想...なるほどあの叙述トリックをサクッと無視してくるとは度胸のある監督だなあ。

四重の感想...マジックミラーに映した世界。新たな次元の誕生。あの叙述トリックの次の世界。ワクワクが止まりません。
原作にある細かな違和感を、舞台だからね!で押し込める手法。好き。
本当に仲良くなったのか、実は全てネタで「車椅子」を使った久我の脚本だったのか。
ここで終わらせるなら、きっと車椅子の子に立ってもらってカーテンコール。という世界もあったと思います。
これらは原作を完全に昇華させた素晴らしい手法だと思っています。

五重の感想...舞台袖の姿見越しの世界。
これはもう妄想の域かもしれませんが、原作からも感じられた、「あれ、久我って何者で何処から来たん?」という疑問が脚本の原動力になってる気がします。
客席の久我に落ちるスポットライト。これは久我の物語なんじゃないでしょうか。久我の妄想、とも言えるかもしれません。

そもそも探偵役は誰が呼んだのか。これはどのレイヤーでも解決してないと思います。
「先生の声は捏造した」という言葉から、この最終選考に先生は関係していないことがわかります。
つまり、開催したのは犯人と助手で、「久我を呼ぶ理由がないし、なんなら邪魔な部外者である」。来なかったから脱落した、とでも言えばいいじゃない。
そもそも「大した演技もしてない」役者を最終選考まで入れる。それが復讐の相手3人を含んでました。って無理すぎというか、先生無能すぎでしょ!というか、そもそも全て作家久我の妄想なんじゃね?という。
久我の登場を説明しきれない、辻褄が合わない酷い脚本家の妄想。レイヤーがひとつもない0重。

まあ考えすぎの妄想だと思いますが、考える楽しさを感じられる作品だなあと。よかったです。