Jun潤

ディックス!! ザ・ミュージカルのJun潤のレビュー・感想・評価

3.5
2025.01.27

A24初のミュージカル作品。

生き別れた双子の兄弟、クレイグとトレヴァー。
容姿は全く似ていないが、一卵性双生児であると、神が語りかける。
彼らはそれぞれ会社で成功を収め、女性にも困らず、満ち足りた日々を過ごしていた。
ある日、彼らが働く企業同士が合併し、同じ職場で働くことに。
営業成績一位の座を争う二人は、満ち足りた日々を送りながらも、それぞれ片親家庭で育ったことに対するコンプレックスを抱え、誰にも共有できない悩みを持っていた。
しかしお互いに同じ病院で同じ日のほぼ同じ時間に生まれていたこと、半分のハートの形のネックレスをどちらも持っていたことで、双子であることに気付く。
新たな家庭を再構築するため、クレイグとトレヴァーで入れ替わり、互いの親を再婚へと誘導するために動き出すが、親たちはそれぞれに事情を抱えていた。

バカだ
すっげぇバカなのにめっちゃ笑ってしまった、くやしい。
どんな頭してたらこんなバカ話が思いついて、ちゃんとミュージカルとしても成立させて、どこかシットコムのようなコメディも描き出し、「愛は愛」というシンプルだけど作品内で描くには少し難しいメッセージをド直球に投げかけることができるのだろうか。

ミュージカル鑑賞時あるあるな、どのタイミングで歌ってんねん的な疑問も、終始ノリノリなコメディだったので、むしろ全編ミュージカルでも観ている側としては全然満足できていたのではないかと思います。
しっかし会社、各家庭、下水道と場面がコロコロしながらもシュールでおバカなコメディは一貫しているし、それでいてそれぞれで雰囲気の感じも違うしで、よくまぁこんなに考えつくなというのと色んな楽しみ方ができましたね。

今作の何が特徴かって、やはり冒頭クレジットでもあったように、クレイグとトレヴァーを演じたジョシュ・シャープとアーロン・ジャクソンが二人とも同性愛者で、作中では異性愛者“ストレート”を演じて、脚本も担当していることですかね。
だからこそ性的少数者なりの苦悩が片親家庭で育ったコンプレックスを誰とも共有することができないという悩みにすり替わっても違和感はありませんでした。
それに最終的なメッセージも、性的対象が誰であれ愛は愛、それを他の誰でもない神が言うのだから、ノリとミュージカルと合わせて、もう小細工なしにいいから分かれ!な感じに仕上げていたように思います。
Jun潤

Jun潤