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52ヘルツのクジラたちのKAIRIのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.0
"私の声を聞いて"


52ヘルツのクジラ とは他のクジラが聞き取ることの出来ない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。その声は他のクジラに届かないし、届けられない。世界で一番孤独なクジラのこと。

杉咲花さんの演じるキコが物語を最初から最後まで引っ張っていきます。映画の中で沢山の涙を流す彼女だけど、舞台挨拶で「役者が作品に向き合う姿勢ってこういうこと」と言われるのがわかるくらい、一つひとつのシーンはもちろん他の作品で流していた涙とは違うのがわかる演技。そのキャラクターの向こう側をこちらに覗かせてくれるようで素晴らしかったです。

志尊淳さん演じるアンさんの「叫び」も凄まじいパワーだったと思います。

物語の展開はもちろん、役者陣の演技に引っ張られたり削られたりしながら映画を見終えた感覚です

(途中、児童虐待・DV・自死などの表現が劇中にあるので注意が必要なかたもいるかもしれません)


ひとは皆、声なき叫びを放ちながら生きているのかもしれない
全部の声を拾い上げることは難しくても、同じ周波数を持った隣人の叫びには気づくことのできるひとでありたいとも思う

"あんたの声を聞かせて"


完成披露試写会にて
Filmarksさんありがとうございます
KAIRI

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