Mao

52ヘルツのクジラたちのMaoのネタバレレビュー・内容・結末

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

映画の感想とはちょっと違うかもだけど、感じたことをここに書いておく。

アンさんがキナコを助けたのは、自分を助けるみたいな気持ちだったんじゃないかな。大丈夫だよ、新しい人生を生きよう、愛してくれる人がいるよ。きっとアンさんがほしい言葉で、アンさんも抱きしめて欲しかったんだと思う。キナコを想う気持ちは紛れもなく本心だと思う一方で、キナコに自分を重ねた悲しい祈りに感じてしまった。

でも孤独であればあるほど、アンさんみたいに人に優しくなれる。そこに自分のエゴが含まれていたとしても、キナコみたいに救われる人がいる。キナコが抱きしめたイトシも、きっとアンさんからキナコがもらった優しさが受け継がれて救われてるんだよね。

虐待、ヤングケアラー、トランスジェンダー、その苦しみは当の本人にしかわからないし語ってはいけない。でも、そこに当てはまらない人たちが、じゃあみんな孤独じゃないかと言われるとたぶんそんなこともなくて。誰にもわかってもらえなくて、どうしようもなく孤独を感じて眠れないときはあるわけで。叫んでも届かないときはあるわけで。でも魂の番にいつか出会えるのかなって、思えるだけでほんのちょっと救われるよね。
 
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