ブサ猫太郎

52ヘルツのクジラたちのブサ猫太郎のレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.2
東京から大分へと引っ越してきた訳ありのキナコが出会ったのは虐待で声を失った少年。キナコは親友のミハルと共に少年を母親から遠ざけるために親戚を探し始める。キナコはどうして出会ったばかりの少年ために動くのか。そこにはかつて自分の命を救ってくれたアンゴの存在があった…

人生をやり直している女性がかつての自分と同じ境遇の少年を助ける物語。

本屋大賞を受賞した2021年に一度だけ読んだ『52ヘルツのクジラたち』。軽い気持ちで買ったところ、ヤングケアラーやLGBTQ、家庭内暴力、村社会の問題など多くのテーマが内包されており考えさせられた覚えが。

そんなボリューミーな作品が映像化されたということで映画館へ!

率直な感想としては、観てよかった…

まず内容としては原作を一部改変はされていた。特に主役の1人である愛に関するエピソードは大幅に省略されている印象。原作では登場した祖父はカットされており、母親も軽く登場した程度(それでも母親役の西野七瀬さんは標準語と方言の瞬間的な使い分けでかなりインパクトあるキャラだった)。

けど、その分キナコを軸として物語を構築。今にも死にそうだった女性がパートナーに支えられ、立ち上がり、悲しい別れをしたものの最後には自立するという定番な型ではあるものの秀逸な展開に。キナコが自分で包丁を指すシーンはあまりにものめり込みすぎてちょっと辛かった…

ありのままを受け入れ、向き合う。簡単そうに見えて難しい決断をしたキナコの成長。今年になってから洋画を観まくっていた中で久しぶりに良い邦画に出会えた。