たく

52ヘルツのクジラたちのたくのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
1.5
ほんとにほんとに残念な映画だった。
実家に原作があったから、観終えてから、そもそも原作で描かれてることなのか、映画の脚色なのかチェックした上で、それでも残念だった。
ミヤタさん、浅田さんと杉咲花さんの対談を読んだ上で、かなり考えられたうえでの映画だと期待して観たものの、、なぜこうなる、こんな描き方する意味は?というようなものの連続。。

まず原作でのアンさんの描かれ方。こんな話が2020年で本屋大賞って、日本どれだけ遅れてんだっていうくらい酷い内容。
もちろん、自死を選択するくらい悩む人達もたくさんいる現実はあるけれど、この物語では、かつ宣伝の仕方を見る限り、LGBTQ+の消費にしかなってない。映画のチラシに「感涙の傑作小説」ってダメだろ。そして当事者たちへの救いにもなってない。

介護時代の髪の毛(おそらくウィッグ)がひどい。あんな露骨な見た目の変え方はないと思う。
で、そんなDVを受けていた頃を知ってる友人と、再会した時にビンタするのって、どうなの?(これは原作で「夢ではないと知る」みたいに、その文を書きたいがために平手打ちさせたみたいな演出で、それが悪いと思う。でも脚色で変えてくれよ!)

で「アンさんと、何かあった?」のセリフは明らかなミスリード。主税の存在を美春が知らないみたいになってる。言うなら「主税さんと何かあったの?」じゃないの。映画ではまだ出てきてないけど。
金持ちが嫌な奴みたいな描き方もやめてくれ!ずっとステレオタイプがウロウロしてる。彼の家の境遇も分かるけど、全部に誠実さがない。アンさんも結果的に嫌なことしてるから、自殺するのも逃げるなよ!って思っちゃう。
大きな改変でも、それぐらいキャラクターに愛をあげてほしい。こんな原作なら脚色してどんどん変えてほしい。

周りに理解がないのは現実だったとしても、それを打ち明けて愛されるお話をもっと描いてくれよ。

キコがお腹刺すシーンも、もっと描き方あったろ、、なんか不自然に後ろにまわってグサァって。原作はなんやかんやで〜みたいな描き方だったけど、もう普通に自分でグサっとやった方が良かったと思う。ほんでセリフが「いくなー!」って、嘘だろ、、ってなりました。

あと愛のことをずっと放っておいた村?のババアたちが、最後に「あんた一人でできると思うな」みたいに言ってるのもすげえ腹が立ちました。今まで放っておいてやっと行動して偉そうにしてるのどゆこと?

いろんなセリフに嫌いが詰まってて、演出にもキライが詰まってた。
何度も言うけど俳優さんたちのお芝居は良かっただけに残念。ちなみに私も、お芝居で泣いてはいます。でも同時に「キライ!」がたくさんいて複雑すぎる感情だった。

頼むからもう、マイノリティを消費するな!殺すな!それを感動にするな!!!救え!愛せ!!ばか!!!
あと「今っぽいテーマ」とか「社会問題」みたいな感想もキライ!!ずっと蚊帳の外じゃないか!!
たく

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