アルカディア

52ヘルツのクジラたちのアルカディアのネタバレレビュー・内容・結末

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

控えめに言って最高でした!
キャスティングが原作のイメージと少し違うのに、映画は映画として脚本にマッチしてて原作と違う部分も含めて映画全体の完成度が高くてとても良かったです。
まず、良い意味でムシの存在感の無さが光ってて惹かれました。そもそも映画版の脚本が原作より圧倒的に52の登場シーンが少なくて、なおかつ原作で52の見た目(13歳くらいでガラスのような瞳)などと詳細に語られていましたが、劇中の52は設定年齢が明らかに低いし、瞳も光がなかった。一貫して目に希望がなくて、少なくともこの映画版「52ヘルツのクジラたち」での52はこの子でピッタリです。ただただ"ムシ"としてそこに存在しているだけのような、映画内での目的と一致してて役割を完璧に果たせていました。
また、この52の存在感の無さが、より杉咲花の演技力の凄まじさや、アンさんのメッセージを強調することに繋がってて、その点でも映画の完成度を上げるのに裏でかなり寄与していたんじゃないかなと思います。
特に、終盤のキコと52が海辺で抱き合うシーンの52の瞳が印象に残っていて大好きです。そこのシーンだけ切り取ったポスターが欲しいくらい。
そもそも僕は原作の「君の52ヘルツの声を聞かせて。」と言うメッセージ性が大好きで、映画の最後に「52ヘルツのクジラたち」の文字が出た時は、本当に泣きそうになりました。

久しぶりに良い映画を見たなと思います。
汗臭くて、泥臭くて、鬱要素もあり、でもどこか美しい作品が大好きなんだなと改めて認識できました。
ありがとうございました!