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トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代のminceのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

高橋ユキヒロが加藤和彦が成したことを後世に残したいと口にしてずいぶんと時間が経過した。昨今のバンドや音楽回顧録映画の波に乗ってようやくできあがったようだ。動画サイトで何度も見たThe Old Grey Whistle TestのSMBを大画面で観られるのはうれしかった。映画はトノバンクロニクル的でブレない。お通夜に思い出話に花が咲いてるような感じは静かで悪くない。
この手の映画でかなりの人が入っていた。ほとんどがトノバンと同じ時代を楽しんだ人たち。

京丹後で気持ちを振り切るようにジャンプして帰ってすぐ死んだ詩人に会いにいった。彼が急いだ理由はわかっていた気がしていた。深く触れようとしない。才能ある人気者。当時に関わり今活躍している人達はたくさん。いわく欝気味だったそうだ。この1週間音源は黒船しか聴いていない。他の音はささくれ立った舳先が向って来る様で怖い。急いだ気持ち今よくわかる。

SMB以外の活動に興味がなかったしフォークルは座敷にあがるといなくなる男が一番好きだった。それでも2009年の訃報以来ずっと理由を考えていた。
「ロールスロイスがほしい」
MICAのその一言だけで英国までロールスを買いにゆく男、そんな人。この映画の中でSMBツアー後も英国に残ったまま帰ってこない彼女を心配していた話し。1ヶ月後もう戻ってこないことが決定的になり数日失踪。それはZUZUのところにいてその後この年上のとてつもない才女と再婚するのだけれど。ZUZUと共作することでSMB以前の自分に気持ちを取り戻したかったのではないか。「愛・おぼえていますか」なんて「あの素晴らしい~」そのままに思えてならない。
お祭り的に再結成したSMB。二曲が夫婦共作。きっと吹っ切るために楽しんだに違いない。その後思いもよらず先立れた心の内は計り知れない。後に才能あるおそらく違ったタイプ音楽家と再々婚するも数年で別れる。映画でMICAにはあまり触れられない。きっとずっとずっと彼女を待っていたんだと思う。
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