おりょうSNK

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦のおりょうSNKのレビュー・感想・評価

5.0
文句なし!

「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」
2024年 日本 85分
@T-JOY京都 平日10:30〜 観客37人

映画館は空いてるに限る。貸切状態が最高だ。いや、映画館が好きだから儲かってほしい。けど、自分が見る回はガラガラであれば心の底から嬉しくなる。

だが、こういった観客純度の高い映画の場合は別だ。都心でもないここ、あまり熱くなることがないこの土地のド平日午前中のシアターに37人ものハイキュー‼︎オタクが集っており、見えない熱気が占拠するシアターに入ってもう目には謎の水が。

TVアニメ4期85話+何本かのOVAや総集編を踏まえての、東京都代表、古豪・音駒戦!

サイコー‼︎
いっぱい泣いたけど、こういう熱く清々しい涙を流したいものだ。悲惨な過去や家族の辛い話なんかなくたって、こんなに観客の心を震わせることができるのが映画だ。ハイキュー‼︎だ。

何度も帰結する、「バレーって楽しい」というシンプルな場所。それに考えさせられることは少なくない。
本作の登場人物はブレたり闇落ちしたりしない。猛練習や強敵、曲者との対戦では、二度とごめんだ吐きそうだもう無理無理無理となるけれど、必ず「バレーって楽しい」というたったひとつの混じり気のない場所に戻り、その巨大な力に導かれていく。バレーの魅力にどうしようもなく夢中になっていく。夢中になってる人に感化されていく。

ひねくれ者も、いつも冷静沈着な者も、感情表現が苦手な者も、日陰を歩む者も、初心者も、傍観者も、壁を越えていく姿に、壁を越えさせる賭けに、信頼に、なんの見返りもなく滅私応援する者の姿に、試合会場と映画館は渾然一体となってバレーの楽しさに夢中になっていくのだ。

コンマ何秒で天国と地獄がコロコロと入れ替わり、1点ごとにプレーが止まるバレーというスポーツは映像化と相性がいいのだなとあらためて思う。

ラリーの作画が素晴らしい出来で、ラストワンプレーのカメラワークは繰り返し何度でも見てみたい。いくつか不満があった「THE FIRST SLAM DUNK」より映画として面白いし、84分なのにほどよく濃密。音駒が最大の強敵でもなく、これがベストバウトでもないのにこの興奮。
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