ふゆうを奪われたゲンガー

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦のふゆうを奪われたゲンガーのレビュー・感想・評価

4.2
ファン待望の『ゴミ捨て場の決戦』の劇場版アニメ化。
烏と猫の因縁の対決、その行方は…。
アニメ本編の第4期から続くストーリーとなっており、ハイキューファンにとっては長年待ち望んだ試合の映像化である。そのため最低でもアニメ2期の東京合同合宿までは観ておかないと、なんか主人公チームも敵チームもやたら仲良さそうに試合してるな位にしか感じず、感動も薄れてしまうので事前にアニメ視聴or原作コミックを履修することは必須の作品である。(ちなみに私はアニメ3期までしか観れていません古舘先生ごめんなさい…🥹)
作中の烏野・音駒メンバーにとっても、両校監督にとっても、作品のファンにとっても待ち望んだ試合であり、映画冒頭、体育館の電光掲示板に烏野対音駒の文字が並び、選手たちが一堂に会した時はワクワクと興奮、これまでの烏野の死闘や努力が報われた瞬間のように感じて感極まった。
本試合は、お互い練習試合を通して手の内を知り尽くした者同士の試合であり、研磨と日向の絡みは勿論、黒尾が月島のナイスブロックに対して敵なのに嬉しそうに笑っていたり、外野から木兎が月島の活躍を愛弟子のように喜んでいたり、西谷と夜久がお互いのプレーをみて素直に認め合い尊重していたりと、各選手が互いを認め、ぶつかり合う観ていて気持ちがいい名勝負であり、ハイキューで観たかったものが詰まったそんな…とにかく最高の試合だった。(伝われ)
本映画における主人公は研磨であり、黒尾に誘われててなんとなく続けていたバレーが、日向との出会いや本試合を通して初めて心の底から楽しいと思うことができた研磨の成長を感じることができる内容となっている。
最終セットでの心の底から出た『たーのしー』や、ラストプレーでの『バカ!ボール!まだ落ちてない!』などのセリフは、演じているcv梶の今にも倒れそうな息づかいの演技も相まって研磨のバレーに対する想いと心情の変化、まだ終わりたくないという気持ちが伝わってくるそんな名シーンになっていた。
ラストは研磨がボールを滑らせたミスにより呆気なく決着がついたが、このミスは選手全員が必死に繋いだボールに付着した【全員分の汗】によってボールを滑らせたことが原因であり、これは音駒の掲げる横断幕にある【繋げ】を体現した結果であるというなんともオシャレな負け方である。
研磨視点の影山のラストサーブからゲームセットまでのシーンは、本当にコートに立っているかのような臨場感、迫力であり、まだ終わるなと観ている側も思わせてくる没入型の映像体験でこれは劇場で見てこそ真価を発揮する素晴らしいものだった。
本映画は冒頭研磨と日向の出会いの回想シーンの『またね』という何気ないセリフで始まり、ラストの試合後の『またね』で終わるというこれまたオシャレな締め方である。
個人的に山口がピンチサーバーとしてしっかりと当たり前のように役割を果たしていたのには感動したし、黒尾が試合に負けたことよりも研磨にありがとうと言われて泣きそうになった後高笑いするシーンが最高だった。
猫又監督とテレビ越しに握手を交わす烏養監督シーンも最高です。
余談だが、黒尾がガラケー派なのが本作における1番の衝撃である。
主題歌であるSPYAIRのオレンジは鑑賞後鬼リピ確定。
入場者特典がどんどん変わるみたいなのでファンの方は大変だろう…。笑