主要人物の行動心理が腑に落ちないので、それがノイズとなってしまい盛り上がりに共感できなくなってしまう。なぜ主人公の女性アンナは恋人ライアンとの距離に曖昧さを残すのか、研究員アミールは同僚にプライベートで恋人がいると見栄を張るのか、肝心なところを押さえきれていない。恋愛という感情を数値化することの功罪が物語の主軸にも関わらず、その罪についての考察があまりに浅い。数値に疑念を抱くアンナが数値に期待する心情もよくわからない。雰囲気だけでまとめようとする物語に、印象に残る場面が皆無なのは当然であろう。モヤモヤするのは脚本の詰めの甘さか、センスの齟齬なのか、やるせなさだけが残る。
