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美と殺戮のすべてのragaのレビュー・感想・評価

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)
4.0
写真家ナン・ゴールディンは声をあげる。鎮痛剤オキシコンチンを巧妙な手口で販売促進して多大な利益を得るパーデュー社を創設したサックラー家に対して、その薬物乱用による中毒を経験した人や過剰摂取による死亡者の遺族の悲痛な訴えと共に抗う。彼女の原動力は何か。それは無関心という恐怖、弱者を虐げる社会構造の脆弱性、医療経済や行政サービス、そして最小の社会である家族という人のつながりに心の病が巣食うところに手を差し伸べる信念にある。そこには過去にできなかった、しなかった自身との闘いでもある。勝ち・負けでは世界は分けられない。優しくありたいか否か、人道的に真っ当な行動を貫く姿勢に感嘆する。私も自省しつつそうありたいと肝に銘じる。
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