Kyasarin

映画(窒息)のKyasarinのレビュー・感想・評価

映画(窒息)(2021年製作の映画)
3.9
#窒息 高円寺シアターバッカスというミニミニシアターに初めて行きました。なんて素敵なところ!!ビックリ!こんな素敵な場所があるだなんて!場所が分かりづらくてずーっとMAP見ながらぐるぐるぐるぐるしてやっと到着。
2023年公開の映画の再上映です。
岬の兄妹で衝撃を受けてからわたしは和田光沙さんが好きです。見る映画、ドラマにはちょいちょい出演されていらっしゃるのを結構長年見ている方だと思います。
舞台挨拶などチャンスはあったのに中々予定が合わず、今回やっと!お会い出来る!と思い行きました(主演ですしね!)
わたしは和田さんの演技力は凄まじいと確証を持っているので主演だしこんなにも和田さんの良さを活かして贅沢に堪能出来る作品を見ることが出来るとはとても幸せ〜!とずーっと思いながらわくわく!
とかいいつつも、なんの情報も得ないまま観に来てしまいました(いつもそう)自給自足の原始人のような生活をする女の話なのですが、セリフ一切なく(叫び声とかハッとする声とかのみ)モノクロで、音楽とともに進む(まーたこの音楽がとても良い)長尾監督が仰るには3部構成にしっかりと分けられていると。たしかに。と言うか脚本がそもそもうまいししっかりしている。長尾監督は映画がとても好きだと仰られていたがこれは色々考えて作ったものなのだなとすぐにわかった。めちゃくちゃ面白い。今の現代の便利なこと(蛇口ひねれば直ぐに水が出るとか食料買えるとか)に大感謝せねばならない。自給自足だから自分で食料を狩りしに行かねばならないし水も調達せねばならない。お風呂も川で。椅子も木で作るし寝床も自分で工夫する。そのひとりの生活がどんどん脅かされてゆく。他の人間が来ることでかき乱されてゆく。衣食住、人間3大欲求、食欲性欲睡眠欲をこんなにも表現出来る和田さん、すごい。声は出せないのでため息をよくつくのだがその声や仕草がアニメのように可愛らしい。喜怒哀楽全てをしっかりと表現出来ている、ホントすごい。特に泣くシーンがとても好きです。あと毒キノコに当たっちゃったところのシーン、パートナーとキャハキャハしてるところ、とても好きです(笑)やっぱり和田さんは泣くお芝居がものすごく上手い。そしと、人間と言うか動物らしく性的な営みも大胆に表現されていてとても良かった。あととてもスクリーンに映るお顔が美しい。物語が進むにつれて段々人間の本質的な部分、厭らしい部分に確信をついてゆく。人格が変わってしまう人間や羅生門のような、極限状態の時に人はどうするのかとか、サバイバル状態の時どんな決断をするのかとか。自分ならどうするかなとか。段々と元々優しかったはずの人がどんどん意地悪な人間になってしまうところ、お金持ちになって傲慢になって人をモノのように扱うところとか、今現代の話題になっているニュースとか芸能界の闇のようなものにも言えるのではないかなと思ったり。とにかく面白い。
少し、水を汲み行き来する所で白い人の靴が汚れたり綺麗だったりする繋がりのカットがバラバラで気になっちゃった(汚して撮るのめんどくさかったんかなw)ところはあるけど。

あと、原始的なのにフェンスがあったりコンクリの打ちっぱなしなのとかしっかりした階段があるのも、それはそれでおもしろかった。敢えてそうしたのかな??ツッコミ入れながら観る、みたいな。
私はそこは見えててとても良かったなと思いました(笑)

あと寺田農さんの存在感!やっぱりすごいや。

黒い影の瞳はめちゃくちゃ怖くて夢に出てきそうでした。でもなんかクセになる(コナンのアレみたいw)


とにかくたくさんの人に見ていただきたい、そしてその感想を知りたい。
和田さんの素晴らしさを皆さんにみてほしい。という気持ちです。

人間の欲とはキリがなくて、煩悩と共に歩んで行かねばならないのだよなと思っていますがまさにその欲望、人間の卑しい部分をリアルに描いた作品だと思います。
この題材を映画にしようとした長尾監督の発想もすごいなぁと思いました。着眼点よ!!!もちろんこのままでもとても良いけど、ちょっとこれめっちゃお金かけてリメイクとか欲しい(笑)そしたらどうなるのか見てみたい、と言う妄想。
幸せな事もあればそうでない事もある、上手くいくこともあればいかないこともある。人生とは、サバイバルですね。

また観たいなぁ…
Kyasarin

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