ニシ

狂ったバカンスのニシのレビュー・感想・評価

狂ったバカンス(1962年製作の映画)
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笑わせ方が嫌いだったな。ただフリもなく滑稽にすることで笑いをとるって寒い大学生みたいで嫌だった。でもオリジナルでなんて言葉なのかわからないけど、汚職事件をお食事券に聞き間違えたという話し方によってはそこそこ面白いエピソードを上手く話せなくて周りが真顔になる一幕は面白かった。

映画は面白かった。最初に古代ローマの演劇なのか儀式なのかを野外で上演しててそれを「くだらない。」と一蹴して立ち去るアントニオ、そしてあからさまに高尚な話を男がして、俗っぽい話を若い女がしている。

高尚だったはずのアントニオが若い男女と「狂ったバカンス」していくにつれてどんどん見る側から見られる側へと変貌していく。

最終的にカントリーヌ・スパーク含めた男女たちに冒頭で自分がしたような立ち去りをされてしまう。アントニオは車で走りながら、「あいつらはバカだ。俺とは違う。」と言いながらも見られる側だった痕跡であるまっさらな口髭は消えることはない(生えることはない?)。

この映画を登場人物にグッと入り込ませるために物質化させたらそれはそれで面白い恋愛会話劇になるとは思うけど、砂浜の波打ち際という海に行ったことある人はわかるであろう砂がジャリジャリする気持ち悪さだったりゴーカートで汚い刈草に飛び込むカトリーヌ・スパークがなんとも人情味を体現していて楽しい娯楽映画になってるんだろうなって思う。
ニシ

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