無差別イイネは咒殺

アイアンクローの無差別イイネは咒殺のレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
-
初日川崎。
平均年齢40代以上、くたびれたスーツか黒キャップのオッサン二択という気合い入った客席に痺れる。
着席率45%くらいでそこそこの入り。
全員暗い顔してて、上映前から若干重い空気で最高。
プロレスフアンと絶望に飢えてる奴らしかいない。
内容は言わずもがなの傑作。

もし花田優一とか亀田三兄弟がコメント書いてたら伝説だぞ!映画コメント界隈における「上手い事言う大喜利」のサムい感じに風穴を空ける!と思って上映後ロビーでチラシを探したが、もう無かった。どうだったのでしょうか。

ダーレン・アロノフスキーが描きそうで描かない、でもやっぱりやりそうな内容だった。
それは単純にプロレス悲劇とL4D的な鬱、肉体的恐怖、そして役作りの異常さにおいてという表面的な箇所だけじゃなくて、人生における穴を何としてでも埋めようとする人間の狂気という点に於いてでもある。

自分の野望に取り憑かれたフリッツ、そして父に認められたい息子たち。
特に精神的に追い詰められたケビンが自傷行為のようにトレーニングに励む姿は、苦しさとどこか共感できる昂りに溢れていて必見。