ここらへん

アイアンクローのここらへんのネタバレレビュー・内容・結末

アイアンクロー(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

フォンエリック・ファミリーに襲いかかる不幸の連鎖があまりにも理不尽で悲しい。

家父長制の権化のような男に育てられた子供たちが、早くその呪縛から解放されないかと祈るように観ていた。

それゆえに、あの世で兄弟が出会うというベタすぎる演出に少しだけ救われた。

事実を元にした映画だけに否定する声にも頷けるが、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドしかり、作り手の愛が感じられる映画表現には毎度心が揺さぶられる。

もう一つの救いは、ケビンに植え付けられた家父長制の呪いが、やがて形を変えて強化していくのではないかと思ったが、実際はにそんなことはなかったこと。

試合後の控え室でリック・フレアとの会話でみせた拍子抜けしたような、どこか吹っ切れたような表情。子供たちとの会話で、男だって悲しい時は泣いたっていいんだ、と当たり前の感情に気づかされた時にみせた柔和な表情。重い呪縛が解かれたような印象に残るシーンだった。

正直なところ20代の若者を演じるには、ザック・エフロンは歳をとりすぎなのではと思っていたが、こうやって感想を書いていると、ザックの表情しか浮かばない。