びびし

アイアンクローのびびしのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.3
「男は涙を見せるな」

どこの梶原一騎だよ、なんと言う古い考えのテーマ性だよ、と思っていたらそうでは無い、“呪い”がテーマかと思ったらそうでも無い、あれよあれよと話は進み、思っても見ない胸打つ展開、傑作だった、

プロレス映画であり実在にあった話ベースではあるが、実際私はプロレスにはあまり興味が無く、知識が無かったが十分に楽しめた、毛嫌いしていると損をしますよ、

↓ネタバレ










“呪われた一族”、一見すれば本当に呪われている様に思ってしまう、実際ケビンも呪いが実在すると信じ込んでおかしくなるシーンもある、しかしよくよく考えると父親に圧力をかけられ追い込まれ、更には「兄弟でどうにかしろ」と突き放された挙句に死んでいる、止めることの出来た”人災“なのである、

兄弟で唯一生き残ったケビンがプロレスを辞め、団体を売り、父親を見限り自分の家族の元へ...自分の家族以外全てを失った様に思えるが、父親からの抑圧から解放された事により自然と涙を流す、ケビンが自分の感情を”取り戻した“話だったのである、それでも「男は涙を見せるな」と言う、それを子供達に諭される、そして自分を取り戻す、このラストシーンが最高なのよ、

ケビンは兄弟と楽しくプロレスがしたかっただけだった、それだけなのに父親により競争を強いられ兄弟の関係にも次第に亀裂が入り、更には次々に失って行く、

四男が川を渡り向こう側で兄弟達に再会するシーンが最大の名シーンだった、初めて出会った長男を抱き上げるシーンが今思い出すだけでも涙がぶり返す...みんなが再会出来たシーンがあるだけで観る側はとても心が救われる、

「さぁ泣けよ」みたいな感動の押し売り感では無く自然と感動できる映画はやはり良い、

でもエンディングの写真の子供があり得ないほど宙を浮いているのは心配になった、
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