結末を知っているからこそ、観よう観ようと思いながら重い腰が上がらなかった今作だが、観て良かったと思う。
父親からの教育虐待と言っていいほどの期待を背負いながら、それに答えよう努力し助け合う兄弟たちの熱く、眩しいまでの愛と、その愛がだんだんと呪いとなって彼らに重くのしかかっていく様が悲しいほどに描写されている。
私自身に兄弟がいる関係か、特に兄弟同士の描写は印象的だった。会話は聞こえないまでも奥で楽しそうに話しているシーンがちらっと映ったり、何気なく肩を軽く叩いたりと、等身大の「仲の良い兄弟」が徹底して描写されていた。
そういった何気ない描写にも拘ったからこそ、ラストのあの涙には私もつられて涙してしまった。帰りに一緒にハンバーガーを食べた日のことや、談笑をしながら川で日光浴をした時のことが、観客の記憶にもあるであろう兄弟、姉妹との似たような記憶と混ざり合いさらに涙を誘う。
歳を重ねる度に、家族を題材にした映画に弱くなってくる。ケビンが今も家族に囲まれて幸せに暮らしいているのが、この映画唯一の救いだと思う。