ひるるく

Saltburnのひるるくのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
4.0
階級社会やスクールカーストそこからの逆転や収奪といった設定自体はありがちだけど、この監督の『プロミシング・ヤング・ウーマン』よりは風刺は薄めであまりシリアスにならずコメディー、スリラーとして捉えて見たのでとても楽しめました。

その要因はやはり脚本も彼のために当て書きされたんじゃないかと思うほどぴたりとハマるバリー・コーガンの圧倒的な気色悪さ(褒めてる)。

『聖なる鹿殺し』『イニシェリン島の精霊』における天使か悪魔か白痴か賢者といったどっちも真実であり嘘にも見える二面性が本作でも爆発してましたね、また同じくクセ強なイメージの共演者のロザムンド・パイクも『ゴーン・ガール』『パーフェクト・ケア』の立ち位置かと思ってたら予想を裏切られたのがまたグッドでした。

演出面ではスタンダード画角が古式ゆかしいオックスフォード大学や豪邸、劇伴のオーケストラにマッチしてると同時にこの狭い画角一杯に人物の顔アップやツーショットを撮る事で親密さ、不安、狂気とストーリーの進行と共に、登場人物の心象風景が表情で伝わるのにより効果的で見てる側も特に後半から圧迫感が増したのは秀逸だなと感じました。

ラストシーンの全てをさらけ出した(文字通り笑)姿とシンクロしてアスペクト比もスタンダードからビスタに変えたらより解放感があったかもしれませんね。

結末も主人公の行動原理や目的は予測できたけど、その手段があまりに偏執的で用意周到なのは予想の斜め上を行きバリー・コーガンの怪演も相まって良かったですね。

クセ強映画好きにはおすすめです。
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