・ジャンル
クィア/スリラー/サスペンス
・あらすじ
奨学生としてオックスフォード大学に入学した新入生のオリヴァー
生真面目で物静かな彼は周囲に上手く馴染めず友人も少なかった
しかしある日、ひょんな事から学校の人気者フィリックスと知り合い2人は日増しに親しくなっていきオリヴァーは密かに友達以上の気持ちを抱く様に…
そして夏休みを迎えた時、父の訃報を受けたオリヴァーは彼の屋敷“ソルトバーン”へと招待される
小説の題材にもなったという大邸宅である
彼の一家は貴族の大富豪だった
初めは住む世界の違いに圧倒されていたオリヴァーだったがその博識さや洞察眼の鋭さ、親切さから徐々にフィリックスの姉ヴェニシアや母エルスペス、従兄弟のファーリーらの信頼を勝ち取っていき屋敷に馴染むのにそう時間は掛からなかった
彼の“嘘”がフィリックスにバレるまでは…
・感想
昨年末にアマプラで限定配信され高い評価を得た話題作
その評判を時々目にしていたので鑑賞
一貫して画になるカットで埋め尽くされた芸術的な映像世界、イギリスの階級社会を上手く描いた世界観、登場人物達のキャラ立ちや背景、そしてストーリーのどんでん返し
どれも魅力的だったし高い予算を感じさせる作品なので安っぽさも無く良かった
特にオリヴァーの嘘が明らかになってからの展開はサイコパスを描いた作品として変に理解の余地がある形でそれを表現していなかった点も魅力的
彼の狂気的な行動や冷淡さも芝居がかり過ぎず生々しくて印象的だった
特に風呂や墓前での行動、フィリックスの姉ヴェニシアとの情事における経血指フェラからのディープキス等は歪さを強く感じさせる不快描写として素晴らしい
ただ一方で「そんなに事が上手く運ぶか?」という違和感は拭えずそこだけが残念
一応、一連の悲劇の真相は明かされていたけどそれがかえって非現実的に感じる要因になっていた感じがする
ネタバレに近い事を言うと本作の内容は漫画原作の邦ドラの怪作「銭ゲバ」や韓国映画「パラサイト」に近い物なんだけどそれらに対してあまりにも主役オリヴァーの独壇場過ぎて屋敷の主であるキャットン家の人々が駒でしかなさ過ぎるというか…
それが本作のスリラー性に繋がっているとはいえ危うい場面もあまり無いし…
せめて一度は疑われてそれを切り抜けるヒリついた展開があればもっと良くなっていたんじゃないかなぁ、と
あるいは直接的に手を下さず内面を破壊して追い込んでいたら最高だったんだけど…
とはいえ基本的には映像もストーリーも演技も演出も良く出来ているし胸糞の悪さもちゃんとあるのでそこは楽しめた
「聖なる鹿殺し」とかが好きな人には刺さるだろうなぁと思っていたら同じ役者という事で…
どうりでハマり役な訳だと納得