かじドゥンドゥン

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

3.8
「侵略者」とみなされる者たちを保護するか撃退するかで、日本がイカ派とタコ派に二分。駿米大学に進学したカドデたちは、田舎から上京して、侵略者の擁護運動に傾倒するフタバと懇意になる。

東京上空を漂う巨大な母艦が、到来から4年経った今、もくもくと煙を上げ、やがて墜落しようとしている。その母艦でやってきた「侵略者」と呼ばれる者たちは、もともと地球の先住民だったが、人類に追い出される形で移転した連中の子孫で、今度はその母星での人口増加が深刻化し、地球への(再)移住を誘い文句にまんまと星を追い出された、事実上の難民らしい。

陰謀説に感化されて極右に振り切れた青年コヒルイマキは、このまま母艦が墜落し、その母艦のエネルギー源である未知の物質「ファンタジウム」が地上に降り落ち、それに触れた人類がほぼ絶滅する中で、自分が救世主となって新秩序を作り上げるのだと息巻く。他方、地上に落下した「侵略者」のひとりであり、事故死した青年アイドル・オオバの体に寄生することで人間界で生活し、カドデたち、とくにオンタンと深い絆をつちかった男が、別の世界線の自分から言付かったパスワードで、母艦の安全装置を起動させ、母艦墜落のダメージをわずかに緩和。人類は滅亡の危機をまぬかれる。

今回の後編で明らかになったのは、自分の中で暴走する正義感に翻弄され、罪の意識に苛まれ追い込まれたカドデが、ビルから飛び降りて死んだ際、オンタンが、「侵略者」の力を借りて、別の平行世界に移動し、カドデが生きる世界を取り戻したのだが、その代償として、「侵略者」が地球侵略を断念する世界線が、侵略を決行する世界戦に切り替わってしまったということ。つまりオンタンは、カドデ一人を救うために、人類全体を犠牲にする選択をし、その責任を引き受けたのだった。特殊な道具でその経緯を知ることになった、オオバ(に寄生する「侵略者」の一人)は、傲慢で軽率で野卑な人類のなかにありながら深い愛を知る稀有な存在、オンタンに恋をする。