かじドゥンドゥン

ロバート・アルトマンのイメージズのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

4.0
一角獣の現われる子ども向けの本を執筆しながら暮らしているキャスリン。或る夜、彼女のもとに正体不明の女から電話があり、夫ヒューが浮気していると告げ口してくる。取り乱したキャスリンは、すべての受話器を上げたままにしてしつこい電話から逃げ、帰宅した夫に事情を明かして、田舎にあるかつての住まいに夫婦で滞在、療養することになった。

ところがその邸でもキャスリンは、自分を遠巻きに監視する自分自身や、元不倫相手で3年前に死んだはずの男の幻を見る。また、夫の友人が娘を連れて現われるが、彼もかつて不倫関係にあった男で、隙を見てはキャスリンに言い寄ってくる。キャスリンの欲望とかつての不貞をつきつけてくるような幻視の数々が、キャスリンを誘惑し、あるいは彼女を咎める。その誘惑につい乗ってもしまう彼女は、そんな自分に苛立ち、ついに男たち(の幻)を殺めてゆく。彼女の幻覚と現実との区別が曖昧となり、混沌とするなか、キャスリンは、ヒッチハイクを求めてくる自分自身を拒絶するどころか、車をぶつけて崖から突き落す。自分の中から一番追い出したかった自分自身をこうして始末し、自宅にもどったキャスリンは、一人でシャワーを浴びるが、そこにあらわれたのは彼女自身。自分を自分から追い出すことは叶わぬと知ったキャスリンは、絶望の雄叫びを上げる。

キャスリンの元不倫相手の娘は、自分もキャスリンのようになりたいと口にしていた美女だが、今度は彼女がキャスリンの例の別邸でひとり、ジグソーパズルを解きながら、一角獣の物語を紡いでいる。