ベルベー

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章のベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

しょうがないよ。思春期に「エヴァ」と「最終兵器彼女」と他でもない浅野いにお作品に触れてしまって、ポスト震災、そして今やポストコロナに生きている自分はこの終わり方されたら良かったと思わざるを得ない。思うところはあるけれど良かったよ。

これは映画の構成じゃなくてテレビシリーズの編集版の構成だよね、と引っかかる部分は前章と変わらず。両作品ともぴったり2時間とまとまっている割には2時間映画の緩急はつけられていない。これならむしろ2時間も要らんよなあと思ったりも。

その上で、公開延期に踏み切っただけの熱量が感じられる作品だと思う。映像の迫力もそうだけど、絶対賛否両論ある、原作ともまた異なるオチに全力で突っ込んだとこ。真摯だと思うんだよな。世界をやり直して、亡くなった人を生き返らせることもできた(かもしれない)けど、僕にとっての「絶対」である彼女と生きた、そしてこれから生きていく世界を選んだ。

「冷笑的」と評価されることの多い原作だし、今回の映画もその言葉を以て評価されたりしているけど、自分はむしろ、今の時代にとても真摯に向き合った結果のこのエンディングだと感じた。やり直しは効かないという当たり前の苦しみが、より鮮明な輪郭を持つようになった今の時代に。

最後に犠牲になる人々はランダムに選ばれている。勿論東京にいた、近くにいたという原因はあるけど、ひろしやマコトのような善人も、逆に嫌な奴や普通の人も等しく犠牲になる。かと思えば、小比類巻のような人間が助かったりする。本作では、それまでの行いに関わらず、無慈悲に「たまたま」で生死が分かれる。そしてそれは現実そのものでもある。

あの時、東京から離れていたら、離れさせていたら…という後悔はそのまま現実の悲劇に当てはめることができる。でも、やり直すことはできない。選んだ道の続きを(時には罪悪感を抱えながらも)生きていくしかない。

意見は分かれて当然と思いますが、私はこの結末に賛成です。世界を救うことを最後まで諦めなかった大庭君を帰還させたのは原作と違う部分だし、ここだけランダムではないのだけど…ミニマルにでも希望が描かれていることこそ、この映画が冷笑的ではなく、くそったれな世界に真摯に向き合ったものであることの証明じゃないでしょうか。

ま、大庭君がヒロイックに活躍しすぎで門出とおんたんの蚊帳の外感が増しちゃったんだけどね苦笑。2人が中心になってもテーマからはズレるんだけど、どうせ世界の在り方を変えたのはこの2人って風呂敷広げちゃったんだから畳む時ももう少し近くに居させて良いのに。

声優は前章に引き続き幾田りらとあのちゃんが上手すぎた…特にあのちゃん、号泣する演技凄すぎない?でも後章で一番印象に残るのは実質「主人公」として奮闘する大庭君役の入野自由と、反対に「ヴィラン」が似合いすぎる内山昂輝です。どこの死柄木弔だってくらい暴れてた。あと主題歌、前章がハードル上げまくってたけど、今回も流れで聴くと原作理解度高くて良いな。
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