大正ロマン×スチームパンク×ミステリー!?異色のハイブリットで確立された、独自の世界を浴びられるアニメーション作品!
本作は、非常に鑑賞後感の良い作品でした。
確かに、作品としては荒い部分も多いです。
ストーリーはミステリーにするためだけの時系列シャッフルがなされ、テーマ性は薄く、ドラマ性も不足していたことは否めません。
ですが、それ以上に「確立された」という表現がしっくり来る、素晴らしい世界観構築がなされていて、観ているだけでその世界にいるかのような空気感や臨場感を味わえ、それだけでも十分観賞価値を見い出すことができたかと思います。
煙が焚かれたような独特なルック(絵本の挿し絵にも見える作画、美術)は然ることながら、スチームパンク的世界にお決まりのメカ、迫力満点のアクションシークエンス、観客の興味を鷲掴みにして離さない演出力と、優れた点を多く挙げることもでき、一旦内容面の細部を忘れてもいいと思えるほどのクオリティが担保されていました。
本作を観て同時上映された『クラメルカガリ』を劇場公開中に観に行くことは確定しましたし、監督である塚原重義さんのファンにもなりました。
今作が長編初挑戦だったと思うので、今後脚本力が追い付けばとんでもない作品を作ってくれるのではないかと期待しています。
総じて、作劇面で不満に思うところはあれど、独自の世界観とアニメーションの楽しさにノせられた佳作でした!