くさむすび

ザ・ガーディアン/守護者のくさむすびのレビュー・感想・評価

ザ・ガーディアン/守護者(2022年製作の映画)
2.0
イ・ジョンジェに続きチョン・ウソンが監督デビューしたわけだけど、期待しすぎたせいか面白くなかった。
前半はまだ良い。暗い部屋での希望の見えないやり取りや、カン理事の中々着火しないライターなど手堅い演出で見せている印象があった。マンションでの攻防も思わず集中してしまうほど面白かったし、そういった意味では楽しめていた。しかし後半からは粗が頻出し始めている。娘が得体の知れない人物に攫われたというのに、呑気に黄昏たり、カップルの男の方と喋っているチョン・ウソン自ら演じるスヒョクの姿は全くと言っていいくらいに緊張感がない。所々で流される『きらきら星』の紛い物みたいなポップなメロディがその緊張感のなさを加速させる。変に万人受けを狙ってしまったのが仇となっている。
加えて今回の事件が動き出すきっかけとなっている事故はカップルも悪いけど、スヒョクもまあまあ悪いだろなんて思ったりして、感情移入もできない。パク・ソンウン演じる会長も威圧感が欠如しており、「あの風体でそれっぽいことを言わせておけば怖いだろう」的な安易な考えが透けて見えてしまっている。その怖さを引き出せていなかったので、チョン・ウソンの演出はまだまだなのかなと偉そうに思ってしまった。終わり方も打ち切られた漫画みたいな雑な畳み方で、消化不良の感じも拭えない。人間ドラマとしてもダメだし、妻の言葉が何も響いていないようなスヒョクの行動には好感が持てない。「あの締め方では何も解決してないですよ」と製作陣に言いたい。
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