汽笛の音で目を覚ます

陪審員2番の汽笛の音で目を覚ますのレビュー・感想・評価

陪審員2番(2024年製作の映画)
4.1
御年94歳のクリント・イーストウッドが監督を務める、とある殺人事件の陪審員裁判を描いた重厚な法廷スリラー。

物語りの筋書きは至ってシンプルなんだけど、繊細で複雑な心理描写が見事で、かなり見応えのある仕上がり。ニコラス・ホルトの素晴らしい演技も相まって、見てるこっちも終始ドキドキしてしまうぐらい緊迫感が凄かった。

あと、やっぱりクリント・イーストウッドの演出には本当に無駄がない。余計なものがない作品としての構造美は、毎度惚れ惚れしちゃうほど。そして、終わり方もらしさ全開で、自分たちの信じる正義がいかに不確かなものなのか考えさせられた。

だからこそ見終わった後も何とも言えない余韻が残り続けて、どうするのが正解だったのか、そもそも正解なんてあるのか、答えのない問答を繰り返してしまう。でも、それこそが確信的に観客に委ねられる部分なんだろうなと。

いやー、面白かった。ただ一方で、こんな名作が劇場公開されなかった事実は少し、いやだいぶ寂しいですね…。