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雪山の絆のhikkimanのネタバレレビュー・内容・結末

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

主人公だと思ってた人物が途中で亡くなり驚く。でも、亡くなった後もナレーションで彼は語り続ける。この演出が、この映画の大きなポイントだと思う。
遺体ではあるが、生きるために人が人を食べたという衝撃の事実。でも、それは残忍な行いなどでは全くない。共に支え合った仲間に、命・希望をつなぐリレーだった。そのことを生き残った人が語るより、バトンを託した人から語るほうが伝わる。そう考えての演出だと思う。
救助を求めて出発する時に言った「おれの母さんと妹も、食べてくれてかまわない。」に、心が奮えた。普通なら考えられないセリフだが、あの極限状態では、仲間への最高のエールだ。母も妹も、きっと納得してくれる。大切なことは、一つでも多くの命をつなぐこと。
悲しいかな、その行為を軽蔑する人もいる。純粋に生きるためとわかっちゃいるけど、生理的に受け入れられない人も。それでも、この事故は、世界中の多くの人々にとっての生命賛歌になる。命が粗末にされすぎる今の世界で、生きること、生かすことの尊さを見つめ直すきっかけをくれる。魂のこもった作品に出逢えた。
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